Bad Romance

Artist: Lady Gaga|Album: The Fame Monster (2009)
作成日: 2026-01-02|最終更新: 2026-01-22

この記事でわかること

  • 「Bad」の多層性——「悪い恋」でも「最高の恋」でもある
  • 棺桶から蘇るシーン——死と再生、恋愛による自己の変容
  • 「I want your ugly, I want your disease」——破壊的な愛の渇望

キャリアを決定づけた代表曲

「Bad Romance」は、Lady Gagaの2枚目のEP『The Fame Monster』からの1枚目のシングルとして、2009年10月26日にリリースされた楽曲。RedOneとガガによって書かれ、プロデュースされた。

この曲は、ガガのキャリアを決定づけた代表曲の一つ。Billboard Hot 100で2位を記録し、世界中で大ヒットした。2011年のグラミー賞では、最優秀女性ポップ・ボーカル・パフォーマンス賞を受賞した。MVは公開当初から**「棺桶シーンの意味は?」「なぜ白から赤へ色が変わる?」**と話題になり、世界中で考察が行われた。

この曲は2008年のツアー中に書かれた。ガガによると、ツアー中に体験したパラノイア(妄想症)から強く影響を受けており、そこで向き合った様々な「怪物」について歌っている。その中でも**「愛の怪物」が、この曲の発想の源**だった。


"Bad"という言葉の多層性

多くの人が「なぜBadなのか?」と疑問に思う。

「Bad」という言葉には、複数のニュアンスが重なっている。俗語では**「イカした」「最高の」という肯定的な意味**で使われることもある。

ガガは、この曲について**「ツアー中に向き合った怪物の一つ、"愛の怪物"について歌った」**と説明している。恋愛という感情が、自分を飲み込む怪物のように感じられた体験

インタビューでは**「親友と禁断の恋に落ちる様子」**を歌ったとも語っている。頭では「これは良くない」と分かっていながらも、止められない。

"Bad Romance"——悪い、でも最高。破滅的だけど、抗えない。この言葉の曖昧さが、複雑な恋愛のあり方を表している。


破壊的な愛を歌う歌詞

この曲の核心となるフレーズ。

I want your ugly, I want your disease I want your everything as long as it's free

完璧な愛を求めているわけではない。むしろ、相手の欠点や暗い部分まで、すべてを受け入れたい——そんな強烈な渇望。

ガガはインタビューで、この歌詞についてこう語っている。

「私はあなたが誰とも共有することを恐れているような、そんなあなたの最も深くて最も暗くて最も病んだ部分が欲しい。あなたのことをそれほど愛しているから」

そして、この曲の最も象徴的な部分。

Caught in a bad romance

自分で選んだわけではない。恋愛に「捕らわれて」しまった。逃げられない。でも、逃げたくもない。

この破壊的な愛のテーマは、後にPoker Faceで「感情を隠す仮面」へ、そしてBorn This Wayで「ありのままの自己受容」へと展開していく。


言葉にならない狂気を音にした瞬間

Ra-ra-ah-ah-ah Roma-roma-ma Gaga, ooh-la-la Want your bad romance

この繰り返しが、この曲の最大の特徴。言葉では表現できない感情——狂気、渇望、混乱——を音で表現している。

恋に壊れる。言葉にならない。だから、音になる

カラオケで歌う場合は、この部分を力強く、リズミカルに歌うと、曲全体にエネルギーが満ちてくる。


海外はこう読み解く:MVの深層

日本語サイトのほとんどが歌詞の和訳に留まっているのに対し、海外の音楽分析サイトでは、このMVをより深く読み解いている。

Vigilant Citizenの解釈

海外の音楽分析サイトThe Vigilant Citizenは、このMVを**「音楽業界による搾取のメタファー」として分析**している。

MVの象徴的なシーン
  • 棺桶から出てくるシーン → アーティストが「商品」として生み出される過程
  • ロシアンマフィアに売られる → レコード会社との契約、商品化
  • 最後に男を燃やす → システムへの反逆、復讐

ガガ自身も**「MVの人身売買は、音楽業界が女性を商品として扱うことのメタファー」**と語っている。

もう一つの読み方

一方で、MVは**「パラノイア(妄想症)の影響下で制作された」**とガガは明かしている。薬物を飲まされ、狂ったように踊らされるシーンは、ツアー中のプレッシャーや精神的な追い詰められた状態を表現しているとも読める。

だが、私はこのMVをもっと個人的な視点で読み解きたい。音楽業界批判だけではなく、恋愛における「自己の喪失と再生」という、もっと普遍的なテーマがこのMVには込められている。


なぜ棺桶から始まる?「Monster」ラベルの意味

2009年11月23日に公開されたミュージックビデオは、公開当時から大きな話題を呼んだ。監督はFrancis Lawrenceが担当している(IMDb)。

このMVで最も衝撃的なのが、冒頭の棺桶シーン。白い棺桶の中からガガがゆっくりと起き上がる。目を見開き、まるで生き返ったかのように。

多くのファンが「なぜ棺桶から始まるのか?」と疑問に思うこのシーン。棺桶には**「Monster」というラベル**が貼られている。

このシーンは、単なるインパクト狙いではない。死んでいた自分が、恋によって蘇る。恋愛が自分を変える、破壊的で再生的な力

棺桶から出てきたガガは、白い部屋で他の女性たちと共にダンスを始める。「Bad Romance」の世界に引き込まれていく

印象的なのは、ガガが**「捕らわれた」状態を表現しているシーン**。檻の中にいる、鎖に繋がれている——でも、その表情は苦しそうではなく、むしろ楽しんでいるように見える。

逃げられない。でも、逃げたくもない。その矛盾が、このMVから伝わってくる。


白から赤への色の変化

このMVは、ガガのファッションセンスが際立つ作品でもある。白いレースの衣装、巨大な肩パッド、赤い衣装、そして独特なメイク。

特に印象的なのが、白から赤への色の変化

白いレースの衣装で始まり、赤い情熱的な衣装へと変化する。純粋なものが、徐々に破壊的な欲望へと変わっていく。そして最終的には、破壊へと至る。

MVでは、ガガの瞳が異常に大きく見えるようにデジタル加工されている。当時のアメリカのティーンは、この効果を真似するためにアジア製の瞳を大きく見せるコンタクトレンズを購入していたという。

巨大な肩パッド、鋭角的なシルエット、未来的なデザイン——これらはすべて、ガガが作り上げる非現実的な恋愛の世界。

Lady Gagaのアイコニックなファッションとパフォーマンスについてもっと知りたい方は、Lady Gagaアーティストページもご覧ください。


この曲が今も聞かれ続けている理由

「Bad Romance」が特別なのは、破壊的でありながら、逃れられない恋愛を歌っている点だ。

完璧な愛なんてない。むしろ、欠点だらけで、危険で、自分を失うかもしれない——そんな恋愛に、それでも飛び込んでいく。この普遍的なテーマが、多くの人の心を打つ。

棺桶から蘇るように、恋愛は自分を生まれ変わらせる。壊して、再生する。その繰り返し。MVの**「死と再生」のモチーフは、恋愛による自己の変容を視覚化**している。

破壊的でありながら美しい理由

この曲が描いているのは、破壊的でありながら、逃れられない恋愛だ。

「I want your ugly, I want your disease」——このフレーズが、この曲の核心を表している。完璧な愛ではなく、欠点まで受け入れる強烈な渇望。それが、この曲の美しさだ。

「Bad Romance」は、恋に壊れる勇気を歌っている。そして、その壊れ方が美しいことを教えてくれる。大人になって聞くと、また違って聞こえる。それがこの曲の良さだ。


References 参考情報

公式MV

その他


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