About この曲について

「Joanne」は、Lady Gagaの5枚目のスタジオアルバム『Joanne』(2016年10月21日リリース)のタイトルトラックとして収録された楽曲。Mark Ronsonと共同プロデュースされ、アルバムの「真の心と魂」と呼ばれる、深く個人的な一曲。

この曲は、ガガが生まれる12年前の1974年に19歳でループス(lupus)により亡くなった叔母、Joanne Germanottaへのトリビュートとして書かれた。


ガガのミドルネームは「Joanne」。

Stefani Joanne Angelina Germanotta——それが彼女の本名だ。

会ったことのない叔母。でも、名前を受け継ぎ、家族の記憶を背負ってきた。

この曲は、そんな叔母への、そして父親への、深く静かな祈りのような曲だ。


Joanneという人物

Joanne Germanotta(ジョアン・ジャーマノッタ)は、1955年3月12日生まれ。ガガの父、Joe Germanottaの姉にあたる。

彼女は画家であり、詩人だった。芸術を愛し、創作に情熱を注いでいた。しかし、19歳の時にループス(自己免疫疾患)を患い、1974年12月18日にこの世を去った。

病気が悪化した時、医師は家族に選択を迫った——手を切断して命を延ばすか、そのまま天に召されるのを待つか。

家族は、芸術家から手を奪うことはできないと考えた。そして、Joanneは手を残したまま、静かに旅立った。

この決断が、どれほど家族の心に重くのしかかっていたか。ガガはドキュメンタリー『Gaga: Five Foot Two』の中で、この話を語っている。


Lyrics 歌詞のポイント

この曲を聴くときに知っておくと深まるポイントがいくつかある。

シンプルに呼びかける、その重み

この曲の歌詞は、驚くほどシンプルだ。

Girl, where do you think you're goin'? Where do you think you're goin', goin', girl?

「ねえ、どこに行くつもりなの?」

ただの問いかけ。でも、この問いかけには、深い意味がある。

亡くなった人に、まだ話しかけている。会ったこともない叔母に、語りかけている。この距離感が、この曲の核心だ。

父親の痛みと、娘の祈り

この曲は、ガガ自身が語っているように、父親のために書いた曲でもある。

Honest, promise, I won't let you go Don't you worry, I can see your soul

「正直に約束する、あなたを手放さない。心配しないで、あなたの魂が見える」

ガガは、会ったことのない叔母の魂を感じている。そして、父親に伝えている——あなたの姉は、ここにいる、と。

この曲が家族を癒したように、他の誰かも癒してほしい。ガガはそう願っている。


Favorite Lines 口ずさみたいフレーズ

「Joanne」で覚えておくと、この曲が何倍も楽しくなるフレーズを紹介する。

まず、この曲の核心となる呼びかけ。

Joanne

ただ名前を呼ぶだけ。でも、この呼びかけが、曲全体を貫いている。シンプルで、でも深い。

そして、この約束。

I'll always love you Joanne

「あなたをいつも愛している、ジョアン」——会ったことのない叔母への、永遠の愛の誓い。

もう一つ覚えておきたいのが、この繰り返し。

Where do you think you're goin'?

「どこに行くつもりなの?」——この問いかけが、何度も繰り返される。まるで、引き止めようとしているかのように。


Music Video MVの見どころ

「Joanne」のミュージックビデオは、2017年12月19日に公開された。監督はAndrea Gelardin、振付はRichy Jacksonが担当している。

最も印象的なのは、ガガが一人で荒野を歩くシーン。ピンクのハットを被り、シンプルな装いで、広大な砂漠の中を進んでいく。

派手な衣装も、過剰な演出もない。ただ、一人の人間が、静かに歩いている。

このシンプルさが、曲のメッセージと完璧に重なっている。喪失と、記憶と、愛——そのすべてが、この映像に込められている。

ピンクのハットは、叔母Joanneの象徴でもある。ガガは、アルバム『Joanne』のプロモーション期間中、頻繁にこのハットを着用していた。


ドキュメンタリーで語られた背景

Netflixのドキュメンタリー『Gaga: Five Foot Two』の中で、ガガはアルバム『Joanne』を祖母と父親に聴かせる場面がある。

その場面で、ガガは語る——このアルバムは、祖母と父のために書いたと。

Joanneの死は、ガガ一家の「痛みの中心」だった。父親は、姉の死を引きずり続けていた。その痛みが、家族全体に影を落としていた。

ガガは、この曲を通して、父親の痛みに寄り添おうとした。そして、2016年のDive Bar Tourで「Joanne」をパフォーマンスした後、ガガはこう語っている。

「父のレストランでアルバムリリースを祝った時、父の目に今まで見たことのない光を見た。父の一部が、生き返ったようだった」

この曲が家族を癒したように、この曲が他の人も癒してくれることを願う——そう、ガガは語っている。


世代を超えた喪失と、記憶の継承

この曲は、単なる追悼の歌ではない。

世代を超えた喪失——会ったことのない人の死を、どう受け止めるのか。家族の記憶を、どう継承していくのか。

ガガは、Joanneという名前を受け継ぎ、その魂を感じながら生きてきた。そして、音楽を通して、叔母の存在を世界に伝えている。

削ぎ落とされたサウンド、シンプルな言葉、静かな祈り——この曲は、ガガの「父の娘」としての一面を表している。

派手なパフォーマンスではなく、ただ、人間としての彼女がそこにいる。


この曲が教えてくれたこと

この曲を聴くと、喪失は終わらないことを思い知らされる。

でも、愛も終わらない。

会ったことのない人を愛することができる。名前を呼び続けることで、その人は生き続ける。

「Joanne」——この曲は、静かに、でも確実に、心に残り続ける。