About この曲について
「Fernando」は、ABBAが1976年3月にシングルとしてリリースした楽曲。元々はメンバーの一人、アグネタ・フォルツコグのソロアルバム『Elva Kvinnor I Ett Hus』(1975年)にスウェーデン語版が収録されていたが、英語版として再レコーディングされ、ABBAの代表曲の一つとなった。
この曲は世界中で大ヒットし、オーストラリアでは14週連続1位を記録。イギリスでも4週連続1位を獲得した。アメリカでは「Dancing Queen」ほどの成功は収めなかったものの、ビルボードHot 100で13位を記録している。
この曲が描いているのは、かつての戦友との思い出と、失われた時代への郷愁。歌詞は具体的な戦争を明示していないが、「自由のために戦った」という言葉から、何らかの革命や紛争を背景にしていることがわかる。
ABBAのベニー・アンダーソンは、この曲についてインタビューで「具体的な戦争を念頭に置いたわけではないが、メキシコ革命を思い浮かべながら書いた」と語っている。遠い昔の戦いを懐かしむ老兵の視点で書かれており、友情と喪失をテーマにしている。
タイトルの「Fernando」は、語り手の戦友の名前。二人は若い頃、共に戦場で戦い、自由のために命を懸けた。そして今、歳を重ねた語り手は、星空の下でその思い出を振り返っている。
Lyrics 歌詞のポイント
この曲を聴くときに知っておくと深まるポイントがいくつかある。
まず、この曲の冒頭で歌われるのがこのフレーズ。
Can you hear the drums, Fernando?
「太鼓の音が聞こえるか、フェルナンド?」——この問いかけから曲が始まる。太鼓の音は、遠い戦場の記憶を呼び起こす。過去の戦いの音が、今でも耳に残っているのだ。
そして、この曲の核心となるフレーズがこれだ。
There was something in the air that night The stars were bright, Fernando
「あの夜、空気の中に何かがあった。星は明るく輝いていた、フェルナンド」
戦場での一夜の記憶。星が明るく輝いていた夜——それは恐怖と勇気が交錯する、忘れられない夜だった。
もう一つ重要なのが、この回想。
They were closer now, Fernando Every hour, every minute seemed to last eternally
「彼らはもっと近づいていた、フェルナンド。一時間一時間、一分一分が永遠のように感じられた」
戦いの緊張感。敵が近づいてくる恐怖。時間が止まったように感じられる、極限の状況が描かれている。
そして、サビで繰り返される核心的なメッセージがこれだ。
If I had to do the same again I would, my friend, Fernando
「もう一度同じことをしなければならないとしても、僕はするよ、友よ、フェルナンド」
後悔はない。友のために、自由のために、もう一度同じ道を選ぶ——その強い決意と、戦友への深い友情が表現されている。
Favorite Lines 口ずさみたいフレーズ
「Fernando」で覚えておくと、この曲が何倍も楽しくなるフレーズを紹介する。
まず、この曲の最も印象的な部分がこのフレーズ。
Can you hear the drums, Fernando?
「太鼓の音が聞こえるか、フェルナンド?」——シンプルで覚えやすく、メロディも美しい。この問いかけが、過去への旅を始める合図になる。
そして、サビの中心になるのがこのフレーズ。
There was something in the air that night The stars were bright, Fernando
「あの夜、空気の中に何かがあった。星は明るく輝いていた、フェルナンド」——このフレーズが、この曲の詩的で郷愁に満ちた雰囲気を完璧に表現している。カラオケで歌う場合は、この部分をゆっくりと、感情を込めて歌うと、曲全体に深みが出る。
もう一つ覚えておきたいのが、この決意。
If I had to do the same again I would, my friend, Fernando
「もう一度同じことをしなければならないとしても、僕はするよ、友よ、フェルナンド」——友情と忠誠心を表すこのフレーズは、この曲の感動的なクライマックスだ。
Music Video MVの見どころ
1976年に公開されたオリジナルのミュージックビデオは、当時のABBAらしいカラフルで華やかな映像だ。メンバー4人がスタジオでパフォーマンスする様子が映されている。
興味深いのは、この曲の歌詞が戦争をテーマにしているにもかかわらず、MVは明るく穏やかな雰囲気で作られていること。これは意図的な選択で、戦争の暗さではなく、友情と思い出の美しさに焦点を当てている。
アグネタとフリーダの美しいハーモニー、そしてベニーとビョルンの優しい表情——ABBAの音楽性と人間性が表現されている。
近年では、様々なライブ映像や再編集されたビデオも公開されており、それぞれが「Fernando」の異なる側面を見せてくれる。
時代を超える友情の歌
この曲を初めて聞いたとき、そのメロディの美しさに魅了された。でも、歌詞をよく読むと、これは単なる美しい曲ではなく、友情と忠誠心、そして失われた時代への深い郷愁を歌っていることに気づいた。
「Fernando」は、若い頃に共に戦った戦友への思いを歌っている。戦争の恐怖も、勝利の喜びも、すべてを共有した友——その友への変わらぬ思いが、この曲全体に流れている。
If I had to do the same again, I would, my friend, Fernando
もう一度同じことをするか? するよ、友よ——この決意が、友情の深さを物語っている。
Lady Gagaの「Alejandro」は、この「Fernando」からインスピレーションを受けたと言われている。スペイン語圏の男性名を使い、ドラマティックなメロディで物語を紡ぐという点で、両者には共通点がある。ただし、「Fernando」が友情と郷愁を歌うのに対し、「Alejandro」は恋愛と拒絶をテーマにしている点が興味深い対比だ。
大人になって聞くと、また違って聞こえる。それがこの曲の良さだ。
「Fernando」は、時代を超えて色あせない友情の歌。そして、失われた時代への深い郷愁を、美しいメロディに乗せて届けてくれる。